1.はじめに
・2023年6月7日 熊本城ホールにて開催された人工知能学会全国大会(第37回)において弊社の西尾、西田が下記テーマで発表させていただきました。
非常に大勢の方々にご清聴をいただき、また活発な質疑応答の機会もいただき、深くお礼申し上げます。今後とも弊社としましては人工知能を活用し、特許データから有益な情報を抽出する様々な研究に取り組んでいきたいと思います。
人工知能学会全国大会(第37回)
[2L4-GS-3-02] ブルー・オーシャン戦略による市場創造に向けた異常検知技術を用いた特許戦略変化の知識獲得
〇西尾 啓1、西田 泰士2 (1. イノベーションIP・コンサルティング株式会社、2. Axelidea株式会社)
今回はその概要を説明します。
2.論文内容
(1)背景
・近年、経営戦略として企業の合併・買収(M&A)が増加しており、M&Aにより特許技術を効率的に獲得し事業化を進める動きが活発化してきています。
参考;グラフで見るM&A動向 : グラフで見るM&A動向 : M&A情報データサイト | レコフデータ運営のマールオンライン (marr.jp)
・これらのM&Aの中には、ブルー・オーシャン(※)となりうる市場を開拓する目的で、自社では開発が難しい技術をM&Aにより他社から取り入れ、技術開発を加速させる動きが含まれていると考えられます。
・そのため、M&Aに関連する技術を、M&A前に発見できれば、企業の新規事業への取組動向が把握できる。そのM&Aの兆しを特許情報から把握できれば、企業の新規事業への取組動向に関する知識獲得ができる、というのが背景です。今回は兆しの発見のために異常検知手法の1つであるLocal Outlier Factor(以下、LOF)を利用しました。LOFは局所的なデータ密度の違いを考慮して異常(外れ値)検知ができる手法です。
(2)先行研究
先行研究としては以下のような文献があり、技術の新規性について、今回と同様に異常(外れ値)検知を用いる方法が検討されています。
⇒技術の新規性と市場能力をチェックするため、異常検知技術であるLocal Outlier Factor(以下、LOF)を使用し、出願技術(発明)の新規性を判定している[So 2020]。
②A doc2vec and local outlier factor approach to measuring the novelty of patents – ScienceDirect
⇒特許のテキスト情報をword2vec[Mikolov 2013]で埋め込み表現に変換後、LOFを適用して発明の新規性(novelty)を判定している[Daeseong 2022]。
(3)実験方法
・詳細は省きますが、下記のような流れでデータを処理しています。ポイントは、その業界・業種にとってブルー・オーシャンとなる技術はどれかを特定するために、業界情報を使い、技術分野毎に重みづけを行う点です(下図の右真ん中)
(4)結果
・以下の4事例について手法を適用したところ、M&Aの兆しを発見することに成功しました。
①東京瓦斯株式会社
②星光PMC株式会社
③株式会社ブイ・テクノロジー
④応用地質株式会社
3.今後
・事例を増やし、手法の適用方法等を模索していこうとしています。
・また、今回はM&Aの兆しを発見するための方法として取り組みましたが、同様の手法で企業の新規事業への取り組みの定量化方法として利用できないか検討しています。
・IIPACにも搭載することを検討しています。
・手法やツール化にご興味のある方はお問合せください。